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第2回:組合活動とリーダーシップ

 組合活動においては、組織活動全般の調整コントロールを図る書記長や書記局以外は「組合のリーダーシップ」とはいうものの「組合のマネジメント」という言葉は使わない。しかし大手を中心とした組合活動の実情、組合役員の活動スタイルはどうだろうか。組合員から見て組合という組織は「リーダーシップを発揮してくれている」と感じてもらっているのだろうか。誤解を恐れずに云わしていただければ労働組合は「虚業」である。しかしその「虚業」であるがゆえに組合員に「夢」や「希望」を抱かせる取り組みやメッセージが発せられる事を忘れてはいないだろうか。

 企業にとっても組合員にとっても取り巻く時代変化が激しく現状維持も大変な中、守りに入る活動を強いられる事も理解できる。しかし、経営と同じ言葉を使い、経営の「出来ていない事」を指摘したり目に見える不満・不信の解消をしたりすることに全力投球していないだろうか。勿論、時間管理や生活レベルの維持など無視できない事は当然であるし、取り組み課題の優先項目であることは否定しない。しかし、それだけで組合員は「やる気」になり「イキイキ」するのであろうか。リーダーシップにはリスクを冒しながらも「攻め」の姿勢が大切である。

 組合役員と話をすると「うちの経営は現場を分かっていない」という言葉を耳にする。本当にそうだろうか。(最近では社外からくる経営者が増えたとはいうものの)そもそもはじめから「経営者」である人はほとんどいない。彼らはいろんな成功や失敗を積み重ねその地位にいる。今時、100対0で出せる答えなんてあり得ない。経営の判断は常に51対49であり、メリット・デメリットを考え、悩みながら判断しているはずである。

 問題はその判断に対して労使ともに「守り」の姿勢で対峙主張することにある。「判っているが認めたら前に進まない」という会社側の姿勢、「相手の土俵に上がってしまうと…」という組合側の「守り」の姿勢がベースにある限り、真面目にやればやるだけ組合員から離れた議論になることが多い。

 ハースバーグの衛生理論には、マイナス~ゼロの「衛生要因」と、ゼロ~プラスの「動機付け要因」の2つがある。労使の侃侃諤々の議論の中では、マイナス~ゼロの衛生要因的な議論ではなく、個々のメンバーが自らの「夢」や「希望」をイメージ出来るゼロ~プラスの動機づけ要因的な議論を展開してほしい。

 また、職場集会において組合役員は「中央が◎◎といっているから」とか「会社の現況は●●だから」で全てを済ましていないだろうか。そんな職場集会に誰が興味を持つだろうか。殆どの組合員は、状況を薄々は把握している。その上で、これからどうしたいのかが知りたいのだ。会社の意志や中央の意志を正しく伝えることも大切であるが、用意された資料やQ&Aを読み上げていて、参加した組合員が「自分事」と感じてくれるだろうか。組合役員自身が自分の「想い」を乗せた言葉で説明し、「私も主体者になる」という姿勢を伝えることが組合員の共感を呼ぶのではないだろうか。それこそが組合活動における「リーダーシップ」であろう。またそれらの意思を持って組合役員を務めたメンバーは必ず職制に戻っても、素晴らしいリーダーシップを発揮することだろう。何故なら組合活動で肩書や地位ではなく人間性で共感を育みメンバーを引っ張っていく組織だから…。

2009年10月16日 平塚 大輔
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